ゼニカル
ゼニカルとは
日本では認知度は高くありませんが、ゼニカル(Xenical)は世界的に有名な経口内服型の脂肪吸収抑制剤です。アメリカなど多数の国では肥満治療薬としてFDA認可をされて一般利用されています。
日本では視覚的な効果もインパクトがあり、継続しやすいため、SNSなどでは徐々に認知されつつあります。設立100年以上の歴史がある、世界的な製薬会社F. Hoffmann-La Roche, Ltd.により開発された製品で、Ro18-0647として広く 臨床治験がなされてきた製剤です。グラクソ・スミスクライン社から販売されているAlli(アライまたはアリ)は、ゼニカルと同一の成分になります。
効果
ゼニカルはリパーゼ活性を阻害することで、摂取した食事内容に含まれる脂肪の消化管からの吸収を30%前後抑制し、これにより減量効果を得ようとするものになります。
本来本剤は、肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病の肥満治療薬として開発された製品です。
病気ではない人に対しても、同様の効果があることから、世界中でダイエットに使う人も多く存在します。
またXENDOSが行った減量療法に関する最大規模かつ最長期間の研究で、2型糖尿病において37%のリスクを減少、ブドウ糖耐性機能不全 患者では52%のリスク減としている。
【有効成分オルリスタットの作用】
ゼニカルの有効成分である「オルリスタット」は、リパーゼと呼ばれる体内で脂肪を分解する酵素を働きを弱めることで、結果的に脂肪の吸収を抑えます。
服用することで油分の30%程度を吸収せずにそのまま排出するため、特に脂っこい食事が好きな方には効果があります。
具体的な作用として通常1~2日後、食事をして本来吸収されていたはずの油分が、簡単に見て取れるほどの量が便として排出されます。
臨床結果
二重盲検比較試験のメタアナリシスでは、オルリスタットはプラセボに比べて半年後で 2.6 kg、1 年後で2.9 kgの体重が減少しました。境界型糖尿病を 21%含む北欧の肥満者(平均BMI 37.3)にオルリスタット120 mg×3 回日、またはプラセボを投与して、4 年間追跡した試験では、糖尿病への進展がプラセボの 9.0% に対して、オルリスタットでは 6.2%と有意に少なかったと報告されています。この結果から、オルリスタットの体重減少の効果と糖尿病予防の効果が証明されました。
特徴
5大栄養素の中でも最もカロリーの高い脂質を消化・分解する酵素である、リパーゼを抑制することで脂質の吸収を阻害し、脂質の体内への吸収を防ぎます。
食事量を変えなくても脂肪分の吸収が阻害されるため、食事制限をしなくても減量効果が認められます。これがラクして痩せれる治療薬と言われている理由です。
そのため、食事量が多い方や脂っこい食事が好きな方ほど効果的です。
また、目に見えて油分を含んだ黒い便が出るため、視覚的にもモチベーションを維持しやすく、食事を我慢せずに短期間で効果がでやすいため、挫折しにくいダイエット法と言えます。
メリット
・排出した油が目に見えるため効果を実感できる
・飲むだけなので継続しやすい
・停滞期が起こりずらい
・1~2日後と効果が出るのが早い
・体質に合っている場合は、副作用がほとんどない
・便秘改善・糖尿病リスク軽減の効果もある
副作用
・体質によって油分が漏れ出す場合がある
・油に溶ける脂溶性ビタミン不足に注意する必要がある
・ガスが出やすくなる
特に脂肪排出量増加に伴った消化器系の症状の副作用が見られますが、その頻度は20%前後となり、投与の継続とともに消退する場合が多いとされています。
オススメの方
・脂っこい食べ物が好き
・ダイエットを継続するのが苦手
・運動がきらい
・外食が多い
・食べるのが好き
注意事項
・脂肪や黒い油分が含んだ便が排出されます
・排出された黒い油で便器が汚れるのでペーパーを敷くなどの対策をして下さい
・脂溶性ビタミン類(ビタミンA・D・E・K・βカロテン等)の吸収が減少する可能性があるため、ビタミン補助剤の併用をオススメします
・体内の油分が減り肌が乾燥する場合があるので、保湿は丁寧に行ってください
・炭水化物・糖質のカロリーはカットされない
・食欲抑制効果はない
<禁忌>
・ゼニカルの添加物にアレルギーがある方
・妊娠中・授乳中の方
・胆嚢障害
・吸収不良症候群
ゼニカルの飲み方
1日2~3回1錠、食事中または食後1時間以内に水と一緒に服用してください。
軽い食事の際に服用を続けるとビタミン類の欠乏が考えられるため、ビタミン剤の服用や野菜・果物類を多く摂る食事を心がけてください。
また、バランスの崩れや肌の乾燥等の危険性があるため、1度の服用の際に2錠以上の過剰摂取をしないでください。その他の薬剤成分と相互作用は報告されていませんが、摂取に関しては担当医の指示に従ってください。
ゼニカルダイエットの安全性は?
日本では未承認ではありますが、膨大な臨床治験が行われ多くの国で認可を受けています。
“本剤が持つ作用効果は低エネルギー食療法の実施に際して、補助的に用いて有効たり得る可能性が高いものと推察される。 このような視点で多くの臨床治験が行われ、本剤は1997年8月のアルゼンチンをはじめとして、中南米、北米、欧州連合(EC)、その他86カ国での承認がなされ,2001年3月現在でおよそ850万人の投与例があります。”
参考文献:「海外におけるオルリスタットの最近の使用状況」 ”肥満研究” 日本肥満学会
以上の結果からもほかのダイエット薬と言われる製品より、圧倒的な臨床試験があることが分かります。
“XenicalまたはAlliを使用した世界中の推定4000万人のうち、1999年4月から2009年8月の間に報告されたAlliの米国の症例1件とXenicalの外国の症例12件。~中略~現時点では、重度の肝障害とオルリスタットの使用との因果関係は確立されていません。”
参考文献:U.S.FOOD & DRUG ADMINISTRATION – FDA Drug Safety Communication: Completed safety review of Xenical/Alli (orlistat) and severe liver injury
以上の結果から、重篤な副作用が発生する確率は、きわめて低いことがわかります。
ただし、万が一「かゆみ・皮膚や目の黄化・尿の色の異変・食欲不振・明るい色の便の症状がある場合はすぐに担当医までご相談下さい。
医師の処方のない購入サイトや個人輸入の危険性
メディカルダイエットの個人輸入や医師の処方無く購入する危険性について厚生労働省から注意喚起されています。以下一部抜粋。
ダイエット目的の処方薬として個人輸入されていることが疑われる「ホスピタルダイエット」などと称される製品については、重篤な健康被害が発生し、最悪の場合死に至るおそれがあるため、このような製品を決して入手して服用しないで下さい。
当該品は、購入希望者がインターネットのホームページ等を利用して、身長、体重等を知らせ、海外の病院が処方したものを購入するダイエット薬とされており、主に個人輸入により入手されています。なお、これらの製品には向精神薬が含有されている場合があり、そのような製品についてはインターネット等により注文する個人輸入であっても、麻薬及び向精神薬取締法で禁じられております。
参考文献:厚生労働省 「ホスピタルダイエット」などと称されるタイ製の医薬品成分を含有する無承認無許可医薬品
また下記の通り、個人輸入した医薬品での健康被害は一切保証がなく、全て自己責任となっているので、注意が必要です。
「日本国内で医薬品医療機器等法を遵守して販売等されている医薬品については、それを適正に使用したにもかかわらず重大な健康被害が生じた場合に、その救済を図る公的制度(医薬品副作用被害救済制度)があります。 しかし、個人輸入された医薬品による健康被害については救済対象となりません。」
引用元:厚生労働省 「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
患者様の状態によっては服用自体が禁忌の場合や、薬の飲み合わせによって併用禁忌の場合もございます。それらに該当するような患者様が医師の診察なく服用するのはとても危険です。自己判断で輸入・購入でず、安心・安全に利用するために医師の診察を受けた上で処方していただきましょう。