バイアグラ
開発経緯
シルデナフィルは1990年代にイギリスのファイザー研究所で合成されたPDE5阻害薬と言われる薬剤です。
初め、狭心症の治療薬として開発・研究されましたが、イギリスでの臨床試験では、その有効性が認められませんでした。しかし、被験者から陰茎勃起の発現が報告されていました。そのためED(勃起不全症)の治療薬として研究されていき有効性と安全性が認められたため、バイアグラ(有効成分:シルデナフィル)として販売されるようになりました。日本でも1999年1月に勃起不全の効能又は効果で承認されました。
また、口腔内崩壊フィルム製剤として、バイアグラO Dフィルムが2016年9月に承認されました。有効性に関してもO Dフィルムと錠剤では差がないことが臨床試験で確認されています。O Dフィルムは、服用性が高く患者様のQ O L改善に大きく貢献しています。
<作用>
ED(勃起不全症)を改善して、勃起の開始や持続を助けます。
<特徴>
ED(勃起不全症)治療薬の中で最も歴史が長く親しまれています。即効性があり、勃起力増強作用も強いですが、食事の影響を受けやすいため空腹時に服用する必要があることと、やや副作用が出やすいです。
薬理効果
陰茎海綿体では性的刺激により遊離されたNO によるcGMPの生成を介して血流が増加し勃起が起きます。本剤はPDE5の活性を選択的に阻害しcGMP含量を高め、勃起力を増強します。
用法用量
通常、成人には1日1回シルデナフィルとして25mg~50mgを性行為の約1時間前に経口投与します。高齢者(65歳以上)、肝障害のある患者及び重度の腎障害(Ccr<30mL/min)のある患者様については、本剤の血漿中濃度が増加することが認められているので、25mg を開始用量とします。1日の投与は1回とし、投与間隔は 24 時間以上必要です。
食事との関係
食事の影響を受けやすく、食事と併用すると効果が半減するため、空腹時に服用してください。
アルコールとの関係
アルコールが適量であれば相乗効果が得られますが、過剰だと眩暈や悪酔いを起こすので注意して下さい。
警告
(1) 本剤と硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝 酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を下降させることがあるので、本剤投与の前に、硝酸剤 あるいは一酸化窒素(NO)供与剤が投与されていないことを十分確認し、 本剤投与中及び投与後においても硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤 が投与されないよう十分注意すること[「禁忌」(2)の項参照]。
(2) 死亡例を含む心筋梗塞等の重篤な心血管系等の有害事象が報告されている ので、本剤投与の前に、心血管系障害の有無等を十分確認すること[「禁忌」 の項及び「副作用」の項参照]。
禁忌(次の患者には投与しないこと)
(1) 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
(2) 硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミ ル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)を投与中の患者
(3) 心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる患者
(4) 重度の肝機能障害のある患者
(5) 低血圧の患者(血圧<90/50mmHg)又は治療による管理がなされていない高血圧の患者
(6) 脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近 6 ヵ月以内にある患者
(7) 網膜色素変性症患者
(8) アミオダロン塩酸塩(経口剤)を投与中の患者]
(9) 可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤(リオシグアト)を投与中の患 者
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1) 陰茎の構造上欠陥(屈曲、陰茎の線維化、Peyronie 病等)のある患者[性行 為が困難であり痛みを伴う可能性がある。]
(2) 持続勃起症の素因となり得る疾患(鎌状赤血球性貧血、多発性骨髄腫、白血病等)のある患者 (3) PDE5 阻害薬又は他の勃起不全治療薬を投与中の患者[併用使用に関する安全 性は確立していない。]
(4) 出血性疾患又は消化性潰瘍のある患者[ニトロプルシドナトリウム(NO 供与 剤)の血小板凝集抑制作用を増強することが認められている。出血性疾患又は 消化性潰瘍のある患者に対する安全性は確立していない。]
(5) 高齢者(65 歳以上)[高齢者では血漿中濃度が増加することが認められている ので、低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること(「高齢者 への投与」の項参照)。]
(6) 重度の腎障害(Ccr<30mL/min)のある患者[血漿中濃度が増加することが認 められているので、低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与する こと。]
(7) 肝障害のある患者[血漿中濃度が増加することが認められているので、低用 量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること。]
(8) α 遮断剤を投与中の患者[「相互作用」(2)の項参照。]
(9) チトクローム P450 3A4 を阻害する薬剤を投与中の患者[本剤の血漿中濃度が 増加することが認められているので、低用量(25mg)から投与を開始するな ど慎重に投与すること(「相互作用」(2)の項参照)。]
(10) カルペリチドを投与中の患者[「相互作用」(2)の項参照。]
(11) 多系統萎縮症(Shy-Drager 症候群等)のある患者[本剤の血管拡張作用によ り、原疾患による低血圧を増悪させることがある。]
併用禁忌
アミオダロン塩酸塩 (アンカロン錠)
硝酸剤及びNO供与剤 (ニトログリセリン、硝酸イソソル ビド、ニコランジル等)
sGC 刺激剤 リオシグアト (アデムパス)
副作用
・ほてり、頭痛、消化不良等といった副作用を認める場合がございます。
いずれも数時間のうちに改善を認め、継続することはありません。
注意事項
・性行為は心臓へのリスクを伴うため、勃起不全の治療を開始する前に心血管系の状態に注意をはらうこと。
・4時間以上の勃起の延長又は持続勃起(6時間以上持続する痛みを伴う勃起)が外国市販後有害事象で少数例報告されている。持続勃起に対する処置を速やかに行わないと陰茎組織の損傷又は勃起機能を永続的に損なうことがあるので、勃起が4時間以上持続する症状がみられた場合、直ちに医師の診断を受けるよう指導すること。
・臨床試験において、めまいや視覚障害が認められているので、自動車の運転や機械の操作に従事する場合には注意させること。
・本剤投与後に急激な視力低下又は急激な視力喪失があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、速やかに眼科専門医の診察を受けるようにしてください。
参考文献
・「ED診療ガイドライン[第3版」」 日本性機能学会/日本泌尿器科学会
・医薬品インタビューフォーム「バイアグラ錠25mg・50mg」 ヴィアトリス製薬株式会社
・バイアグラ錠25mg・50mg 添付文書 ヴィアトリス製薬株式会社
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