生理周期とピルについて
<排卵と生理ついて>
生理(月経)は、「子宮内膜が血液とともに剥がれ落ちる状態」のことを言います。子宮内膜と血液は、およそ1ヵ月間隔で体外へ排出されます。生理が終わるころから、まず卵子を包む卵胞が脳からの刺激により育成され、同時に子宮内膜が徐々に厚みを増していきます。卵胞が十分に成熟すると排卵(卵胞から卵子が出ること)が起こります。その後、卵子は卵管を通って子宮に運ばれていきます。
子宮ではその間、受精卵が着床しやすい環境を作るために、子宮内膜を厚くして待っています。しかし、着床しなかった場合には、厚くなった子宮内膜が必要なくなるため、一度剥がれて血液とともに体外へ排出されます。これが生理の起こる仕組みです。
「生理前後は心も身体も辛いけど、我慢しないと・・・」と思っている女性は多いですが、QOL(生活の質)を向上させるためにも、生理の大変さをそのままにするのではなく「どうすれば快適に過ごせるか」を知ることも重要です。生理の不快さは、低用量ピルの服用などで軽減することができるため、生理がつらいとお悩みの患者様は、まずはお気軽にご相談ください。
<生理周期>
生理周期とは、生理の開始日から次の生理の前日までの日数のことを指します。この生理周期は、女性ホルモンである「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌バランスによって調整されています。生理が終わってから排卵までのエストロゲンの分泌量が多い期間は卵胞ホルモンの名前をとって「卵胞期」、排卵日の頃を「排卵期」、排卵後から次の生理が開始するまでのプロゲステロンの分泌が多い期間をこちらもホルモンの名前から「黄体期」と呼びます。つまり生理周期は、卵胞期→排卵期→黄体期→生理のフェーズから成り立っているのです。
この4つのフェーズを一区切りとして、正常な生理周期は25~38日とされています。
この周期が長過ぎたり、短過ぎたりすると「過長月経」や「過短月経」と呼ばれます。その他にも月経の量によって「過多月経」や「過少月経」と呼ばれ、総称して「生理不順」と呼ばれています。
生理不順について
<低用量経口避妊薬(OC)とは>
低用量経口避妊薬(OC)には「エストロゲン」と「プロゲスチン」という成分が配合されています。エストロゲンは服用中の不正性器出血を避ける目的で周期の調節性に関係し、プロゲストーゲンは、排卵抑制という目的があります。
OCは排卵を止める事で妊娠を防ぐほか、子宮内膜を着床しにくくしたり、子宮内に精子を入りにくくする事で避妊効果を表します。飲み忘れなく服用する事で99%以上の避妊効果と言われています。
ピル服用中の避妊率
ピルの効果と副作用
<ピルの服用タイミングについて>
WH診療指針や米国CDC診療指針では月経周期5日目までに服用開始した場合は追加の避妊法は必要ないと言われています。月経周期5日を過ぎてピルの内服を開始した場合は追加の避妊法を用いるか、7日間は性交を避けてください。
OC内服開始時に卵胞径が10mmの場合には排卵する女性が0%であったのに対し、14mmでは36%、18mmでは93%の女性が排卵したとの報告があり、卵胞の発育具合によってはOC内服を開始しても排卵を抑制できないと示されています。(参考文献:①)
また海外の研究ではOC内服を月経周期1日目に開始した女性と月経周期5日目に開始した女性と比較して、卵胞径が10mm以上に達した女性のうち大多数が月経周期5日目に開始した女性であったと報告されています。以上の事から月経周期1日目の内服が望ましいと考えられます。(参考文献:②)3)
<参考文献>