top of page
ミノキシジル
ミノキシジルとは
ミノキシジルは、1960年台にアメリカのファルマシア・アップジョン社(現:ファイザー株式会社)が開発した「ロテニン」という医薬品に含まれる有効成分です。しかし開発当時は、男性型脱毛症の治療薬ではなく高血圧治療薬として研究されていました。研究過程で心タンポナーデや狭心症悪化などの副作用を認めることがあったため1)、高血圧の治療薬として主流にはなりませんでしたが、多毛の副作用を認めたため1)、ミノキシジルはAGA治療に使用されるようになり、現在ではフィナステリドやデュタステリドと並んでAGA治療の中心薬となっています。
.png)
.png)
作用機序
毛細胞の増殖作用と減少抑制作用、頭皮血流改善により毛周期の成長期を延長し、ミニチュア化した毛包を改善します。
<ミノキシジル外用薬>
効果
2%ミノキシジル液を用いた、924名の男性被験者を対象としたシステマティックレビュー2)では、2%ミノキシジル群ではプラセボ群に比べて脱毛部の総毛量数がベースラインより平均で20.90本有意に増加したとの結果が示されています。
また、国内でも、1%および 5%ミノキシジル液を用いた300 名の男性被験者を対象としたランダム化比較試験が行われ、脱毛部の非軟毛数のベースラインから1%ミノキシ ジル群が平均 21.2 本、5%ミノキシジル群が平均 26.4 本の増加を認め、5%ミノキシジル使用群で有意(p=0.02)に増 加しています3)。以上の結果から、日本皮膚科学会の男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版では推奨度Aの “男性型脱毛症に 5% ミノキシジルを外用するよう強く勧める” としています4)。そのため当院では、進行したAGAの患者様に、内服治療のみでなく外用薬の併用をお勧めしています。
発毛効果出現時期には個人差があり、また毛周期の関係上、1-2ヶ月のみの外用薬使用ではなく少なくとも6ヶ月程度は外用薬を継続使用をお勧めします。
<副作用>
ミノキシジル外用薬の副作用としては、瘙痒(かゆみ)、紅斑、落屑、毛包炎、接触皮膚炎、顔面の多毛などが報告されています。しかし、副作用に対して成分パッチテストを行った例は非常に少なく、行った例でも、溶媒であるプロピレングリコールに対してパッチテスト陽性である例もあるため、副作用は必ずしもミノキシジル外用によるものとは言えないものもあり4)、実際の副作用はより少ない頻度だと考えられます。
また、上述しましたように、国内におけるAGAを対象とした外用ミノキシジル1%と5%を比較したランダム化比較試験では、外用ミノキシジル5%の方が有意な発毛効果も認めましたが、副作用の発現率には有意差は認めませんでした3)。
ただし、使用中に強いかゆみや赤みなど含め皮膚トラブルあるようでしたら、使用を中止し当院もしくは近医皮膚科を受診して下さい。
初期脱毛
また、副作用とは少し意味合いが異なりますが、ミノキシジル外用薬使用の初期には休止期脱毛(初期脱毛)と言われる抜け毛を認めることがあります。外用薬使用開始10日後くらいから3ヶ月までに始まり抜け毛が増え、1〜3ヶ月程続きます。
発毛のために薬を始めたのに逆に抜け毛が増え辛い期間ですが、これは髪の毛の毛周期サイクルが整う過程でみられる現象で、発毛効果出現の前兆であることがほとんどのため、必ず使用を継続して下さい。ガイドライン上にも休止期脱毛の記載があり、患者様自身による外用薬中止に繋がらないように事前に説明しておくように推奨されています4)。
<ミノキシジル内服薬>
概要
上述のように、ミノキシジル内服薬は元々高血圧薬として開発研究されていましたが、副作用の関係で高血圧薬としては使用しづらい状況でした。しかし、多毛の副作用に目をつけAGA治療薬として使用されるようになりました。
<効果>
日本皮膚科学会の男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版ではミノキシジル外用薬は推奨度A“行うよう強く勧める”ですが、ミノキシジル内服薬は推奨度D“行うべきではない”とされています4)。またガイドラインでは推奨しない理由について、“ミノキシジル内服に対する臨床試験は実施されていないから”としています。
しかし、2022年2月に「JAMA Dermatology」に発表された内容で、23件のメタアナリシスを解析し、AGAに対する治療薬の有用性を比較した結果、デュタステリド0.5mg内服とフィナステリド5mg内服に次いで、ミノキシジル5mg内服の有用性が高かったと発表されました6)。
また、2020年の論文では、脱毛に対するミノキシジル内服薬の有用性と安全性を、634人の患者を対象とした合計17の研究から検討しています。その結果、ミノキシジル内服薬はミノキシジル外用薬と同様に有用であり、外用薬の治療忍容性の低い患者に対する代替療法となるとしています5)。
ミノキシジル外用薬は1日2回使用する必要があり、ミノキシジル内服は1日1回の内服に利点があります。
このことから当院では、デュタステリドとフィナステリドと同様にミノキシジル内服もAGA治療にとって重要であると考え、当院のAGA治療プランの中でも、ミノキシジル内服を含んだプランをおすすめしています。
<副作用>
ミノキシジル内服の副作用としては、多毛症、胸痛、動悸、息切れ、むくみなどが報告されています。高血圧治療時に使用される用量よりAGAでの治療時での用量の方が少ないため、副作用は出づらいですが、まれに重大な心血管系障害を引き起こすことがあるため注意が必要です。副作用の症状が強い場合は内服を中止し、当院もしくは近医へご相談下さい。
<参考文献>
1)ロテニン添付文書 https://labeling.pfizer.com/ShowLabeling.aspx?id=2199
2)Gupta AK, Charrette A: Topical minoxidil: Systematic review and meta-analysis of its efficacy in androgenetic alopecia, Skinmed, 2015; 13: 185-189.(レベルI)
3)Tsuboi R, Arano O, Nishikawa T, Yamada H, Katsuoka K: Randomized clinical trial comparing 5% and 1% topi- cal minoxidil for the treatment of androgenetic alopecia inJapanesemen,JDermatol,2009;36:437―446(.レベル II)
4)日本皮膚科学会の男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
5)Randolph M., et al., Oral minoxidil treatment for hair loss: A review of efficacy and safety., J Am Acad Dermatol, 2020
6)Aditya K. Gupta, MD, PhD , et al., Relative Efficacy of Minoxidil and the 5-α Reductase Inhibitors in Androgenetic Alopecia Treatment of Male Patients , 2022
AGAサイトマップ
bottom of page