PMS・PMDDとピル
PMS・PMDDとは?
「月経前症候群(PMS)」は精神・身体症状を問わず、生理前(月経前)に何らかの症状をきたし、それが月経とともに消失するものを指します。
「月経前不快気分障害(PMDD)」はPMSの重症型とも言われており、精神症状が主体でうつ病の一種と考えられています。
PMS、PMDDのいずれも現時点で原因は不明であり、5~8割の女性がPMSを有すると考えられており、その大部分は軽症と言われています。
PMS・PMDDに処方されるピルは?
日本において、月経困難症の治療としてDRSP含有LEPを使用した女性において、PMS症状が改善していたとの報告があります。DRSPはスピロノラクトンの誘導体であり、抗ミネラルコルチコイドおよび抗アンドロゲン作用を有します。これにより、浮腫、体重増加、乳房痛や攻撃性、過敏性などの月経前症状を改善するものと考えらています。また一相性で休薬期間が短いことで、外因性ホルモンの濃度が安定するためとも考えられています。OC・LEPが月経前の不快な精神・身体症状を改善させることから、PMSに対する有効性も期待できます。<参考文献:①、②>
これらのことから、PMSに関する英国ガイドラインでは、EE/DRSP 製剤をPMSに対する薬物療法の第一選択として考えるべきと記載されており、英国 FSRH 診療指針でも、OC・LEPはPMS/PMDDの症状を改善させるとしています。<参考文献:③、④>
日本においてPMSの改善に処方される超低用量ピルはルナベル、ルナベルULD、ヤーズ配合錠、ヤーズフレックス配合錠の4種類です。飲み方や体質に合わせて、医師が処方します。
<参考文献>
①:Pearlstein TB, Bachmann GA, Zacur HA, et al.: Treatment of premenstrual dysphoric disorder with a new drospirenone-containing oral contraceptive formulation. Contraception 2005; 72: 414-421 (1)
②:Marr J. Niknian M, Shulman LP, et al: Premenstrual dysphoric disorder symptom cluster improvement by cycle with the combined oral contraceptive ethinylestradiol 20 mcg plus drospirenone 3 mg administered in a 24/4 regimen. Contraception 2011; 84: 81-86 (I)
③:Takeda T, Kondo A, Koga S, et al. Effectiveness of ethinylestradiol/drospirenone for premenstrual symptoms in Japanese patients with dysmenorrhea: Open-label pilot study. J Obstet Gynaecol Res 2015; 41: 1584 1590 (II)
④:Faculty of Sexual & Reproductive Healthcare: FSRH Clinical Guideline: Combined Hormonal Contraception
(2019) (Guideline)