ピルで肌荒れ・ニキビを改善
肌荒れ・ニキビとは?
世間一般で言われる「ニキビ」は医学的には「痤瘡」と呼ばれ、顔などの毛包・脂腺の脂質代謝異常や角化異常、細菌の増殖が複雑に関与する炎症疾患です。日本では90%以上の人が経験すると言われています。
アンドロゲン(男性ホルモン)の影響で脂腺が増大し、皮脂分泌が亢進してくることが要因の1つとなるため、思春期に好発し、93%は25歳までに自然に改善すると言われています。日本女性医学学会/日本産婦人科学会のOC・LEPガイドラインでもニキビを改善すると明記されています。(参考文献:①、②)1、2)
なぜピルによってニキビが改善するのか?
ニキビはテストステロンがDHT(悪玉男性ホルモン)に変換され、これが皮脂の産生を増やす事によって生じると考えられています。ピルは卵巣や副腎からのテストステロンの産生を抑え、含有している黄体ホルモンがテストステロンがDHTに変換するのを抑制する事でニキビが改善します。
ニキビに対するピルの効果は多くの研究で、プラセボと比較して有意に効果があると報告されています。効果の出現は比較的ゆっくりであり、臨床的に効果を認めるまでに3〜6ヶ月はかかると言われています。
現在日本においてOC・LEPの痤瘡に対する適応はありませんが、多くの諸外国ではOCは痤瘡に適応があり、処方されています。また日本で使用されているピルの中で、どのピルがよりニキビに効果的かは明らかにされていません。そのため、長期間内服してもニキビの改善を認めない場合は異なる黄体ホルモンを含んだピルへの変更を勧めます。(参考文献:③-⑦)3,4,,6,7,8)
まとめ
ピルによってニキビの改善が認められています。当院では保険適応、保険適応外と多くのピルを取り揃えています。丁寧な問診と診察で患者様にあった最適なピルを提案させて頂きます。気軽にご相談ください。
<参考文献>
①:林伸和、ホ松浩彦、岩月啓氏、ほか:尋常性>9治療ガイドライン 2017.日本皮膚科学会雑誌 2017: 127: 1261-1302 (Guideline)
②:森 悦子,矢掌徳仁:痤海の疫学、林 仲和 編、皮膚科臨床アセット8」変貌する座瘡マネージメント.東京:中山書店 2012;2-7(ITT)