ピルについて
<ピル避妊効果>
「100人の女性がある避妊法を1年間用いた場合の妊娠してしまう数(避妊に失敗する)」をパール指数と言い、パーセント(%)で表します。パール指数が低いほど避妊効果が高いという事が分かります。
・低用量ピル:飲み忘れなく理想的に使用した場合のパール指数は0.3%、飲み忘れるリスクなども考慮した一般的な服用の場合は9%と報告されており、他の避妊法と比較して低いと報告されています。(参考文献:①、②)日本で実施された臨床試験成績を基にしたパール指数は0~0.59%であり、コンドームやリズム法と比較すると避妊効果は高く、女性避妊手術や薬物添加IUDに匹敵した避妊効果が認められています。(参考文献:③)
・腟外射精:膣外射精はは避妊法の一つではありません。腟外射精のパール指数は22%といわれています。すなわち1年間に100人のうち22人(約4人に1人)が妊娠するということです。腟外射精があった場合は避妊しなかったと場合と同じ対処が必要です。(参考文献:④)

図:各避妊法によるパール指数(参考文献:④)
まとめ
避妊なしで膣内射精の場合、1年間でおよそ85%が妊娠するのに対し、正しく服用した低用量ピルの場合は0.3%と他の避妊方法と比較して高い避妊率を示します。
ピルを飲むと妊娠しなくなる?
低用量ピルを飲むとと妊娠しなくなるのでは?という質問をよく耳にします。しかし実際の研究では低用量ピル中止後の妊孕性には影響しないと報告されています。
海外の低用量ピルの使用者59,510人を対象とした研究では、妊娠の希望があり服用中止した方で一周期めで21.1%、3周期目で45.7%、1年後で79.4%に妊娠が認められています。(参考文献:⑤)
1999年から2009年に報告された論文のレビューでは、低用量ピル内服中止後、12ヶ月以内の妊娠率は79.4~95.0%と他の避妊方法と比較して差が無いと言われています。低用量ピルの長期使用が妊孕性を下げるというエビデンスはありません。(参考文献:⑥、⑦)
また製剤によってばらつきはあるものの、服用中止後の3ヶ月以内にほぼ90%の確率で排卵の再開を認めています。(参考文献:⑧-⑩)
まとめ
低用量ピルを長期服用しても、中止後に排卵再開し、妊孕性に影響はしません
<参考文献>
① FSRH Clinical Guideline: Combined Hormonal Contraception (January 2019, Amended November 2020)
③ 日本産科・人科学会/日本産・人科医会編:低用量経口避妊薬(OC),低エストロゲン・プロゲスチン配合薬 (LEP)を処方するときの説明は?.産帰人科診療ガイドライン・帰人科外来編 2020:164-169 (Guideline)
⑤Rate of pregnancy after using drospirenone and other progestin-containing oral contraceptives
⑦Faculty of Sexual & Reproductive Healthcare: FSRH Clinical Guideline: Combined Hormonal Contraception (2019) (Guideline)
⑧田辺清男:低用量ピルの中止後の妊性の回復.母子保健情報 1997:35:33-36(I)