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​シアリス

開発経緯

シアリス錠(有効成分 タダラフィル)は選択的PDE5阻害薬として創薬され、1995 年から勃起不全治療剤としての開発が開始されました。

ED(勃起障害)患者を対象とした海外の様々な臨床試験の結果から、ED(勃起不全症)治療薬としての有効性と安全性が確認されました。

海外で行われた治験のデータが日本でも代用できるかの試験が行われた結果、シアリスの薬物動態やED(勃起障害)治療における用量反応性、有効性及び安全性が日本人と外国人で類似していたため、海外臨床試験成績を日本人患者に当てはめることが可能であると判断されました。

2005年9月に国内での承認申請を行い、2007年7月に勃起不全治療剤として承認されました。シアリスは2007年9月より日本イーライリリー株式会社にて発売されていましたが、2009年7月1日から日本新薬株式会社が販売を受託し、発売しています。そして、2020年4月にシアリスの製造販売承認が日本イーライリリー株式会社から日本新薬株式会社に承継されました1)。

<作用>

ED(勃起不全症)を改善して、勃起の開始や持続を助けます。

<特徴>

バイアグラやレビトラと比較して勃起力増強作用はややマイルドですが、持続時間は10mgで24時間、20mgで36時間と大幅に改善されています。即効性はなく効果発現まで1〜3時間ほどかかります。また、食事の影響もかなり改善されています(影響を受けない訳ではないので食前1〜2時間での内服がおすすめです)。

<有効成分>

タダラフィル

<薬理効果>

シアリスは、性的刺激などにより非アドレナリン非コリン作動性神経及び海綿体内皮細胞から放
出された一酸化窒素(NO)存在下で、cGMP 分解酵素であるPDE5を阻害することにより、平滑筋を弛緩し、陰茎組織への血流を増大させて勃起不全を改善します。そのため、性的刺激のない状態では効果は発揮しません1)。

<用法用量>

通常、成人には1日1回タダラフィルとして10mgを性行為の約1〜3時間前に経口投与します。10mgでは効果が不十分で、忍容性が良好と判断された器質性又は混合型勃起不全患者に対しては、20mgに増量することができます。

軽度又は中等度の肝障害のある患者では10mg までです。なお、いずれの場合も1日の投与は1 回とし、投与間隔は24 時間以上とします。
中等度又は重度の腎障害のある患者では、5mg から開始し、投与間隔は24 時間以上とする必要があります。
なお、中等度の腎障害のある患者では最高用量は10mg までとし、10mg を投与する場合には投与間隔を 48 時間以上とし、重度の腎障害のある患者では 5mg までとします2)。

食事との関係

食事の影響は改善されていますが、受けない訳ではないので食前1~2時間での内服がおすすめです。

アルコールとの関係

アルコールが適量であれば相乗効果が得られますが、過剰だと眩暈や悪酔いを起こすので注意して下さい。

<副作用>

​比較的頻度の高い副作用とし、頭痛、鼻閉、潮紅、消化不良、筋痛、四肢痛などがあります2)。副作用の頻度はバイアグラやレビトラよりさらに少ないです。

シアリス内服中の頭痛が気になる方は鎮痛薬で症状が緩和します。当院の片頭痛セットでロキソプロフェンを販売しているので、処方希望される方はご相談下さい。

服用できない方(禁忌)

・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

・硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)を投与中の患者

・可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤(リオシグアト)を投与中の患者

・心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる患者

・不安定狭心症のある患者又は性交中に狭心症を発現したことのある患者

・コントロール不良の不整脈、低血圧(血圧<90/50 mmHg)又はコントロール不良の高血圧(安静時血圧>170/100 mmHg)のある患者

・心筋梗塞の既往歴が最近3ヵ月以内にある患者

・脳梗塞・脳出血の既往歴が最近6ヵ月以内にある患者

・重度の肝障害のある患者

・網膜色素変性症患者[網膜色素変性症の患者にはホスホジエステラーゼ(PDE)の遺伝的障害を持つ症例が少数認められる。]

併用できない薬

・硝酸剤及びNO供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)

・sGC刺激剤:リオシグアト(アデムパス)

注意事項

・性行為は心臓に負荷がかかるため、心血管疾患の既往がある方は注意が必要です。

・4時間以上の勃起の延長又は持続勃起(6時間以上持続する痛みを伴う勃起)が外国にてごくまれに報告されています。持続勃起に対する処置を速やかに行わないと陰茎組織の損傷又は勃起機能を永続的に損なうことがあるので、勃起が4時間以上持続する症状がみられた場合、直ちに病院を受診してください。

・投与後に急激な視力低下又は急激な視力喪失があらわれた場合には、服用を中止し、速やかに眼科専門医の診察を受けてください。

・めまいや視覚障害が認められることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意してください。

参考文献

1)シアリス錠 医薬品インタビューフォーム 日本新薬

2)シアリス錠 添付文書​ 日本新薬

 

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