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ピルの種類ついて

ピルにはたくさんの種類があります。低用量ピルや超低用量ピル、1相性ピル、3相性ピル、フレックスタイプ等、、、名前や情報が溢れていて良く分からなくなってしまう事も多いと思います。このページではピルの種類について一つ一つ詳しく説明していきます。

目次

ピルの種類について
ピルの種類について

原則として低用量ピルは「エストロゲン」と「プロゲスチン」という2つの女性ホルモンから配合されています。エストロゲンの量の違い、女性ホルモンの配合割合の違い、黄体ホルモンの種類の違い、何日内服するかのプランの違い、後発薬か先発薬かの違いによって以下の表のように分類されます。

表:当院取り扱いのピル

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※1 保険診療の場合は薬代に合わせて厚生労働省が規定する「初診料」「調剤料」など合計1000円前後がかかりますのでご了承ください。

​※2 自費診療の薬はまとめ買い、6ヶ月以上購入(10%引き)の場合の金額です。

​<エストロゲンの量の違い> 「◯用量ピル」
​<エストロゲンの量の違い> 「◯用量ピル」

ピルはエストロゲンの配合量によって分類され、少ない順に超低用量ピル、低用量ピル、中用量ピル、高用量ピルと呼ばれています。以前はプラバノールという中用量ピルが保険・自費の両方で使用されることがありました。効果は強いですが副作用も強く、原則的には長期に内服するには向いていません。

中用量ピルのホルモン作用を応用しながら、より副作用が少なく、適切な効果が発揮でき、毎日長期に安全に内服できるように開発されたのが低用量ピルです。

・高用量 :エストロゲンの量が1錠中50μgより多い
・中用量 :エストロゲンの量が1錠中50μg
・低用量 :エストロゲンの量が1錠中50μgより少ない(低用量ピルは30μg~35μg)
・超低用量:エストロゲンの量が1錠中30μgより少ない(ヤーズ、ルナベルULDは20μg)   

副作用としてエストロゲンが血栓症のリスクとなり、プロゲスチンが脂質代謝への影響を及ぼします。そのため現在の日本ではエストロゲンの含有量が少ない、低用量ピル超低用量ピルが主流となっています。

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<ホルモン配合割合の違い> 「◯相性ピル」
<ホルモン配合割合の違い> 「◯相性ピル」

ピルには1シートの錠剤のホルモン配合の割合によって分類され、1相性、2相性、3相性の3種類があります。日本では主に1相性と3相性にピルが取り扱われています。
 

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1相性:エストロゲンとプロゲステロンが1剤に同量入っている低用量ピルです。1シート全て同じ薬剤ですので、飲み分けしないでよく、服薬の管理がしやすいです。
1相性は、将来的に妊娠を希望されている方に適しています。低用量ピルは排卵の復帰が早いというデータがあり、1相性の低用量ピルの内服をやめても1ヶ月で約88%、3ヶ月で約94%の割合で排卵が確認されています。

3相性:3段階でエストロゲン、プロゲステロンの含有量が異なる低用量ピルです。
3相性はホルモンの含有量のバランスが生理周期と同じお薬です。ですので、なるべく自然の生理周期に近づけたホルモンのバランスで過ごし、急激なホルモンバランスの変化によるPMS症状を予防したいという方に適しています。また不正出血が起こりにくいと言われています。

女性のホルモンバランスはすべての方が一定というわけではなく、人によってホルモンバランスは異なります。1相性~3相性まであることで自分自身のホルモンバランスに合ったお薬を使用することができます。

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<黄体ホルモンの種類の違い> 「◯世代ピル」
<黄体ホルモンの種類の違い> 「◯世代ピル」

ピルには含有している黄体ホルモンの種類によって分類され、第1世代、第2世代、第3世代、第4世代の4種類があります。これらの世代の違いはアンドロゲン作用の強さの違いであり、世代が進むにつれて、弱くなります。アンドロゲン作用とは、食欲増進、体重増加、多毛、ニキビなどの症状を引き起こします。

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・NET(ノルエチステロン)第1世代ピル:

シンフェーズT28錠、ルナベル配合錠ULD、フリウェル配合錠ULD

一番最初に製造承認されたピルで、出血量が減りやすく月経困難症のコントロールにも優れていることが特徴です。また、ニキビや肌荒れの改善効果もあります。

​<詳細>

シンフェーズT28錠

ルナベル配合錠ULD

フリウェル配合錠ULD

・LNG(レボノルゲストレル)第2世代ピル:

トリキュラー錠28、アンジュ28錠、ラベルフィーユ28錠

不正出血が起こりにくく安定した周期を作りやすいことが第二世代ピルの特徴です。

​<詳細>

トリキュラー錠28

アンジュ28錠

ラベルフィーユ28錠

・DSG(デソゲストレル)第3世代ピル:

マーベロン28、ファボワール錠28

男性ホルモン(アンドロゲン)の作用抑制効果が高く、ニキビ治療や多毛症の改善に期待が持てることが特徴です。

​<詳細>

マーベロン28

ファボワール錠28

・DRSP(ドロスピレノン)第4世代ピル:

ヤーズ配合錠、ヤーズフレックス、ドロエチ配合錠

超低用量化されているので副作用が起こりにくいことが特徴です。またピルの中で唯一「抗ミネラルコルチコイド作用」を有し、浮腫みにくいといわれています。月経困難症や子宮内膜症の治療薬として使用されています。

​<詳細>

ヤーズ配合錠

ヤーズフレックス

ドロエチ配合錠

低用量ピルでは、そもそも黄体ホルモンが含まれている量が低用量なので、副作用として現れることはどの種類でも少なく開発されてはいます。しかし個人のホルモンバランスの影響によって副作用の出方が異なるので、黄体ホルモンの種類でピルを選択・変更すると、ご本人に合ったピルが選べます。

​<服薬周期の違い> 「21日タイプor28日タイプ」
​<服薬周期の違い> 「21日タイプor28日タイプ」

ピルには1シート21錠のタイプと1シート28錠タイプ、フレックスタイプと連続服用タイプがあります。服用方法が異なる為、自分自身のライフスタイルに合ったピルを選ぶ事が重要です。

・1シート21錠タイプ

ルナベル配合錠ULD、フリウェル配合錠ULD等

21錠全てに有効成分が入っていて、21日間服用後7日間休みます。注意しなければいけない点として、自身で休薬期間を設けるため、飲み忘れが多かったり、休薬期間明けの新しいシートを開始するのを忘れてしまう方がいます。高い避妊効果を持つ低用量ピルですが、飲み忘れや不規則な内服によって避妊効果は低下します。安全にご利用頂く為にも、ピルを飲み慣れていない方や内服忘れしてしまいそうな方には1シート28錠タイプをお勧めします。

​<詳細>

ピル内服中の避妊率

・1シート28錠タイプ

トリキュラー錠28、アンジュ28錠、ラベルフィーユ28錠等

21錠には有効成分が入っていて、最後の7日間の錠剤は、有効成分ははいっていない、偽薬(=プラセボ)になっています。なお、有効成分は21錠タイプのものと同じです。

28日タイプだとピルを開始したらずっと飲みっぱなしで済むため、『毎日1回、1日1錠を内服する習慣』を確立しやすく、安定した避妊効果が期待されます。

​後述する「ジェミーナ28」のみ、有効成分が28錠全てに入っているピルになります。

・フレックスタイプ

ヤーズフレックス

ヤーズ配合錠とは同成分ですが、偽薬がなく全て有効成分というのがヤーズ配合錠との違いです。1シートは28錠、全てに有効成分が入っています。

フレックスタイプは、最低3週間(21日)以上服用します。最大で4シート+αの120日分まで連続で内服可能です。120日間内服したら、その後4日間は自分で休薬し、その後新しいシートを開始します。

ただし120日までの間に2日を超える不正出血を認めた場合、4日間休薬し、月経様出血をおこさせます(=リセット)。休薬期間の翌日からは、飲みかけのシートの続きから1日1回の内服を再開します。経験上、3~4シート目くらいに不正出血がおこることが多いです。

最長で服用出来たら年に3回ほどの出血を起こすだけでコントロールが可能です。

月経自体の回数を減らすため、月経に関わる諸症状や婦人科疾患に対して、有効な可能性があります。

・連続服用タイプ

ジェミーナ(当院取り扱いなし)

国内ではジェミーナのみです。​28錠タイプを2シート、21錠タイプを1シート、計77日連続して服用することができます。ヤーズフレックスとの違いは、不正出血が起きても77日間までならば連続投与が可能なので、より計画的な連続投与が可能というこです。

またこちらもヤーズフレックスほどではないですが、月経自体の回数を減らし年に3回の月経になりますので、月経に関わる不快症状や婦人科疾患に対して、有効な可能性があります。

しかしシート間違えに注意です。

28錠シート→28錠シート→21錠シートと服用するので、各シートごとの表紙に、開始の月日を、処方薬を受け取り次第にペン等で直接記載しておくのがお勧めです。

​<先発品・後発医薬品の違い> 
​<先発品・後発医薬品の違い> 

後発医薬品(ジェネリック医薬品)とは先発医薬品と治療学的に同等であるものとして製造販売が承認され、一般的に研究開発に要する費用が低く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が安くなっています。

​ジェネリック医薬品について

・ラベルフィーユ28錠

トリキュラー錠28、アンジュ28錠の後発医薬品

・ファボワール錠28

マーベロン28の後発医薬品

・ドロエチ配合錠

ヤーズ配合錠の後発医薬品

・フリウェル配合錠ULD

ルナベル配合錠ULDの後発医薬品

当院で患者様のへを少しでも安く提供したいと考えています。そのため、ジェネリック医薬品の処方を第一にお勧めしています​。ご不明な点があれば気軽にご質問・ご相談ください。

最後に

ピルにはたくさんの種類があります。困っている症状や出現する副作用によって薬を代えたり、ご自身のライフスタイルに合わせた薬を選択する事が重要です。

​当院では患者様の安心・安全を第一に考え、丁寧なカウンセリングと問診を心がけております。

​気になる点や不明な点があれば気軽にお問合せください。

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